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【ラノベ】『スパイ教室01 《花園》のリリィ』ストーリー&感想

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宝島社より先日出版された『このライトノベルがすごい!2021』にて文庫部門・新作部門第2位を獲得した『第32回ファンタジア大賞』大賞受賞作で作者”竹町”先生のデビュー作であるファンタジア文庫出版の『スパイ教室01 《花園》のリリィ』を読み終えたのでストーリー、と感想に分けて書評していきたいと思います。


 

 あらすじ

陽炎パレス・共同生活のルール。一つ、七人で協力して生活すること。一つ、外出時は本気で遊ぶこと。一つ、あらゆる手段でもって僕を倒すこと。―各国がスパイによる、影の戦争を繰り広げる世界。任務成功率100%、しかし性格に難ありの凄腕スパイ・クラウスは、死亡率九割を超える“不可能任務”専門機関―灯―を創設する。しかし、選出されたメンバーは実践経験のない七人の少女たち。毒殺、トラップ、色仕掛け―任務達成のため、少女たちに残された唯一の手段は、クラウスに騙し合いで打ち勝つことだった!?一対七のスパイ心理戦!第32回ファンタジア大賞“大賞”作の痛快スパイファンタジー!!

 

 

ザ・新感覚スパイライトノベル

感想としては痛快にして軽快に知らぬ間に嘘を吐かれ、最後の大胆かつラノベでこそ活かされた豪快にして明解に伏線回収していく展開に驚かされ、悔しさに笑いがこみ上げ、真実を知らされた時には「嘘だろ!!ウ・ソだろ!!」となりました。

それでは今日もネタバレしていきますね。

 

 ストーリー

タイトルの通り、スパイが主人公。そして任務を遂行。

世界大戦の被害国であったディン共和国のスパイ養成学校に通う少女、リリィ。彼女は四半期ごとに設けられた試験を受けることなく学校を卒業(仮卒業)が認められる。しかし、彼女は筆記試験は高成績で、”ある”ものの特異体質であるものの実地試験では壊滅的な評価を受け、落第寸前の生徒だった。17歳と若いものの女スパイとしてのハニートラップも出来ないというそんな彼女が学校の仮卒業し、その条件として本格的な任務を与えられる。

その任務と言うのが同胞が一度失敗した任務、通称『不可能任務』だった。

 

リリィは与えられた任務のスパイチーム『灯』に参加し、リリィと同様に問題児な6人の少女達と任務遂行のため『世界最強のスパイ』を名乗るチームのボスである男――クラウスから指導を受けることになる。

任務は一か月後。

しかし、彼も指導能力が無かった。

そんな状況では任務遂行どころではないと思いクラウスに積極的に交流する。

リリィはクラウスと街へ出かけ、二人乗りの舟に乗る。計画的にクラウスをハメるようにを仕組んでいたリリィはクラウスを見事に麻痺を負わせる毒を浴びせることに成功する。

リリィの”ある特異体質”というのは『毒』が効かないという事だった。

リリィは更に一瞬で失神させられる毒を脅しに使いクラウスに要求を二つ求める。”『灯』の解散”、及び”メンバーの生活保障”。

しかし、毒が回っているクラウスはリリィの行動からクラウスに仕掛けるという事を企んでいると予想していた。クラウスは舟に乗るように予想し、計画通り残していた舟に特注の足かせを仕掛けていた。リリィはクラウスのワナにまんまとハマり更に舟の栓を抜かれ、解毒剤を渡さなければ足かせを外さないという条件を与えられる。

その計画的なクラウスに負け、諦めたリリィだったが解毒剤を忘れた。

毒にやられたクラウスはオールを漕ぐことが出来ずリリィは一人で雲のようにオールを岸まで漕ぎ、無事湖に舟と共に沈まずに済んだ。クラウスに浴びせられた毒は麻痺で一時的な効果で無事。

 

そのなんやかんやがありクラウスはチームの教育の手段を思いつく。

それは自分を『倒せ』という条件だった。

 

『灯』のチームでクラウスの風呂の時間を見計らって襲う。失敗。

次にチームのエルナという少女が一人で挑む。

彼女は『不幸』を察知できる能力を持っていた。様々な事故や不幸を察知し、クラウスをその不幸の被害に合わせようとする。しかし、その不幸もクラウスの実力の前には敵わず、倒すことまでには至らず、その合間に遭遇していた男どもに絡まれる。その男ども前日にエルナ自身が絡まれた際に不幸――瓦礫落下の被害に合わせていた男の一味だった。

人質を取られているという事を条件にエルナとクラウスは抵抗できずに捕まる。

しかし、その男どもはエルナ以外の『灯』メンバーが計画を変更し企て、男どもをだまして利用し、クラウスを捕まえるという作戦だった。

クラウスは呆気なく腕を動けないようにされていた鎖も壊し、倒されず。

 

その後も他のメンバーもクラウスに挑んだものの敵わず、結局時間が経過してしまう。

クラウスからは初日よりは成長はしたという。

『不可能任務』の内容が『生物兵器のサンプル”奈落人形”を盗む』という任務だと告げられる。そして、その任務に負けたスパイチームというのがクラウスの所属したチーム『焔』と知る。改めて、問われたが、『灯』メンバーは『不可能任務』挑むと決める。

 

そして、彼女たちとクラウスの『灯』で『不可能任務』に挑む。

 

続きは購入し読んで確かめて下さい。七人というのは嘘です。

 

 感想

最後にバラされるネタは読んでいて中盤位で気付きます。挿絵を見ていると気付くことがあるのですが、その面は情報が”文章”だけだったからこそ出来た仕掛けですが見事な読み易さとところどころ疑問を抱かされた場面の正解、答え――伏線の回収が痛快です。『灯』の少女たちと、クラウスなダメダメな部分がスパイという要素をライトにしていました。初めは少し硬いような気もしたけれど物語が進みさらっと軽くなり読み終えることが出来ました。スパイが主役の物語なので何が伏線なのかという事にも注目して読んでいきましょう。気づけなかった時の悔しさは少しでもあるとクセになると思います。


 

そして、この作品がもし映像化されるのであれば是非、日本屈指のコメディと伏線の策士、三谷幸喜監督に監修して欲しいと切に願う。


 

また、ジャンプ漫画の方でもスパイ漫画の人気もあって相乗効果っていうのも今後大きくありそうですね。


 

 オススメ音楽

読んでいる期間、他の作業している時に脳内で流れてきた楽曲がありました。

チョイスが渋いかもしれませんがスパイという要素がマッチして面白いと思えます。

RCサクセションのこの楽曲を『スパイ教室』を読んだらぜひ聴いてみてください。冒頭の歌詞をどうとらえるかによっても聞こえ方が変わるのがこの曲の面白いところですので想像を膨らませてみて下さい。

 

ついでに世界観のあった〈世界が破滅するなんて嘘だろ 嘘だろ!!〉の歌詞もマッチするこの曲も。

明日なき世界

明日なき世界

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あ、あと、記事内で文字の色を白くすると見えなくなっちゃうんですよね。長押しすると見えるとかないとか。知らんけど。オレのやったことはきっと『極上だ』。