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【小説】著:高山一実『トラペジウム』感想

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乃木坂46メンバー初の小説、高山一実さん著の『トラペジウム』を読み終えたので感想を書きたいと思います。

 あらすじ

高校1年生の東ゆうは「絶対にアイドルになる」ため、己に4箇条を課して高校生活を送っていた。「SNSはやらない」「学校では目立たない」「彼氏は作らない」「東西南北の美少女を仲間にする」…?努力の末、“輝く星たち”を仲間にした東が、高校生活をかけて追いかけた夢の結末とは。人気アイドルグループ・乃木坂46から初の小説家デビュー作。現役トップアイドルが、アイドルを目指すある女の子の10年間を描いた感動の青春小説。 

 感想

主人公、東ゆうの一人称視点で客観的なアイドルの理想像と男の子に対しての印象を感じる様がぬるぬると語られ、そして淡いアイドルという希望を抱き展開していく人間関係の描写が良かったです。

東ゆうはアイドルを目指し、3人の個性的な仲間と出会い”東西南北”としてアイドル活動までたどり着いたが安心していたところで起こってしまった悲劇と崩れるメンバーたちの関係から、最終的にメンバーから気付かされる”自分”というアイドルとして求められる性質と自分のアイドルへの気持ちと向き合う展開はよくある展開であるものの、要素の重ね方と終わり方はすっきりさせられるものがあります。

物語はシンプルでコミカルな展開をしてとても読み易く、一歩引いて他人をみるような観点は村田沙耶香さんのキャラクターのような気配さえ感じました。しかし、現役アイドルの書く生々しさや捻くれたような面が表現されていたのがとても読んでいてじわじわと感じたものの素敵な終わりを迎えて優しい青春小説でした。


 

第164回芥川賞受賞作品『推し、燃ゆ』をネットで買おうとして売り切れていて、本屋に行って探してみても見つからなかったので一昨年買って積読していた本作『トラペジウム』があったのでアイドル関連だと思い読んでみたらすっきりできたのでとてもいい機会になりました(?)。

そんなところです。ではでは。