【ビジュアルブック】Charles Conway:著『ビリー・アイリッシュのすべて』
前置き
楽曲は好きで人柄とかを調べようと思っていた。
ざっくりと日本で話題になりだしたタイミングと同時にトゥレット症候群という話、お兄さんと楽曲を自宅のベッドで作っているという事くらいは知っていた。
今年グラミー賞主要4部門を受賞したことは知っている。史上最年少、女性アーティストで初の記録をし、快挙を果たした怪物だ。
しかし、そこまで詳しくまでは知らなかった。
そこで彼女の正体が気になっていたところ本屋に立ち寄った時に音楽本コーナーにあり、保存版として欲しくなってつい買ってしまった。
本書中では章の間にこれまでのイベントやライブでの写真、様々な衣装の写真から豪華なアーティストとのコラボ写真等が掲載されている。
また、本書はこれまで行われた雑誌やイベント、ライブでの発言から抜粋し掲載されており、新たに本書用にインタビューがされた内容になっているわけではない。
彼女に対して第一印象は外見でいうのはあれだが、目つきから少し独特で明るいというより、脱力感な雰囲気を感じていた。
楽曲も実際テンションの高いような楽曲ではなく音数も最小限で静かに囁くような歌い方だ。
そんな彼女”ビリー・アイリッシュ”がこれまでインタビューやイベント、ライブで語ってきた彼女の生い立ち、人生観、人間論を表す言葉をまとめた本書について書いていきたいと思います。
生まれた環境
2001年12月18日 カリフォルニア州ロサンゼルスにてビリーアイリッシュ、「ビリー・アイリッシュ・パイレート・ベアード・オコンネル」は誕生した。
父親はパトリック・オコンネル。アメコミ映画、マーベルの『アイアンマン』出演したことのある俳優。
母親はマギー・ベアード。ゲームの声優、演出指導、作曲もこなし、女優活動も行っている。
兄は現在アーティスト活動をしているフィニアス・オコンネル。
そんな芸能一家で彼女は育った。
しかし、両親は役者としては有名ではなく、役者だけでは生活が難しくなり、パトリックは便利屋、マギーはエアリアルインストラクターとして働くようになった。
そんな中2007年にアメリカでリーマンショックが起き、家族は一気に貧乏になってしまう。
当時幼かったビリーも状況を十分理解できていたという。
更に、当時住んでいたところは毎日銃声の聞こえるようなロスで1、2に貧しく危険な地区だったらしい。
ビリーの性格は幼いころからボス気質で泣いてる子に「へえ、あんた泣いてんの?」という態度で、正直な性格だったようだ。
パトリックが語るには、ビリーは格好もおかしかったらしく、「このゴミ袋ヤバくない?」と言ってゴミ袋をかぶったりしていたらしく、今のファッションに通ずる部分があるようにも感じる(笑)
そんな彼女だが、親が側にいないと不安になったり、知らない場所へ行くとパニックになってしまう”分離不安障害”という障害を抱えていた。
更には”異色症”という症状も抱えて、血の味が好きで金属、コインや鉄棒を舐めていたという。
また、彼女は”共感覚者”で、兄の”フィニアス”という名前をダークグリーンに見えるらしいが、彼女にとっては色や数字を浮かべる事は普通の事のようだ。
自分の曲、『bad guy』は黄色っぽい赤、数字は7であたたかい感じで焼いたクッキーのような匂いがするらしく、楽曲のMVとかを見る限りそういう感覚が全体的に踏襲されているようだ。
その感覚が彼女のファッション性や雰囲気が異色性を感じさせるのかもしれない。
音楽の影響
リスペクトするアーティストには、アヴリル・ラヴィーン、リンキン・パーク、グリーン・デイ、そしてビートルズ。(彼女がポールマッカートニー一番好きだというのは何より有名ですよね)。
そういう1960年以降の幅広いジャンルを聴いていたのはパトリックの影響みたいで兄も聴かされていたという。
特に兄妹でハマったのがグリーン・デイみたいで、今の音楽性からはパンクな感じないので意外ですよね。
Green Day - Basket Case [Official Music Video]
しかし彼女がもっとも影響を受けたのはエイミー・ワインハウスで、「都合のいい嘘で誤魔化したりしない」というようなところが好きだったようだ。
エイミー・ワインハウスは派手なファッション、飾らない人柄で数多くのファンを魅了させたアーティスト。
ビリーの堂々とした性格にマッチするところを確かに強く感じます。
更に聴いていたアーティストは、プレイン・ホワイト・ティーズ、トゥエンティ・ワンパイロッツを上げていて、タイラー・ザ・クリエイターとチャイルディッシュ・ガンビーノは特に尊敬しているラッパーとして上げている。
Tyler, The Creator - PERFECT Featuring Kali Uchis And Austin Feinstein
Childish Gambino - Feels Like Summer (Official Music Video)
『bad guy』がヒップホップな楽曲になった影響が良く分かりますね。
ビリーはノルウェーのシンガー、オーロラの『Runaway』というMVを見たときに「自分がやりたいのはこれだ」と思ったらしい。
(ウィスパーな歌声とかも影響を受けているようにも個人的思える。)
両親は彼女の個性を伸ばすことを優先し、学校へは通わせず、ホームスクールをさせて、そこでマギーはビリーのクリエイティビティを尊重して育てたようだ。
アーティスト活動
作曲は11歳の頃から始め、
音楽投稿サイト『Sound Cloud』にて投稿した『sHE's brOKen』が話題になり、更に後日、2015年11月19日、『osean eyes』をアップすると1000再生され喜んだという。
Billie Eilish - Ocean Eyes (Official Music Video)
『Osean Eyes』はもともとフィニアスが自分のバンドで作った楽曲だったが、
始めは1000再生程度だったが、初めて1000回達成したことにフィニアスと二人で喜んだ。
数日たつとシェア数が増えていき二人にとって予想外のヒットをした。
その後、スムーズにはメジャーレーベルの契約は出来なかった。
マギーと共に探して、面談をしてを繰り返しても出会えず、やっと出会えたのがインター・スコープ・レコード新レーベルのダーク・ルームというところだった。
そこの創業者、ジャスティン・サブリナ―と出会った時にジャスティンの言葉に、自分を天才として扱ってくれていると、ビリーはジャスティンを信用した。
それからメジャーデビューし、彼女はアルバムをリリースし、瞬く間にヒットしていく。
そしてその間ライブを10公演以上行ったりし心身とも疲弊し、自らの体を傷つけるような時期もあった。
しかしそんな彼女を周りの家族、スタッフが一人になると何をするか分からないという事で必ず近くいるようにした時期もあった。
彼女の周りはとても整っていて、ただ彼女自身が周りについていけなくなってしまったという現実が確かにあったようだ。
何より、彼女はまだ10代であっという間に景色がかわるがわるになってしまったのだから当然だ。
それでも支えてくれる存在、マギー、パトリック、フィニアスがいて、丁寧に接してくれるスタッフ。そしてファンがいる。
そうして彼女が”今”の彼女を形成し、僕達に見せ、魅せてくれているんだなと言うことが分かった。
まとめ
本書中で語られているが、彼女は芸能一家だから、ロサンゼルスだから、アーティストだから、と言って本人の現実が煌びやかであった、そう見えていたわけではないという事。
そのギャップの中で葛藤して彼女自身が彼女たるであるため自己表現をしているんだと確信できる。
あくまで当記事に書いた事が全てではなく、是非ビリーアイリッシュがもっと気になった方は購入して拝読して欲しい。
彼女がなぜカメラの前ではあまり笑顔を見せないのかという事とかについてもこれまでのインタビューを抜粋し掲載されている。
また、家族、特に育て方とフィニアスとの関係性、彼女がまっすぐに素直にヒット、世界的に注目されるようになったわけではないという事が書いてある。正直ざっくりではあるような気もするが、ビリーアイリッシュ入門編として十分に読みごたえがあるだろう。
おわりに
あくまで『ビリー・アイリッシュのすべて』の内容の一部であり、彼女の音楽ファッションや人間観、人生観について他にもたくさん掲載されていてファッションの参考にもなる。僕には合わないだろうが、少なくとも僕もビリー・アイリッシュのワナビであることは小声で言っておこう。
前述したように、本書にはこれまでのイベントでの衣装で着用してきたマスク、スニーカーなどのコレクションやテレビ番組出演時のカットが収録されている。
本として持っていてもファッション性が高く面白いものを買ったような満足感が個人的にある。
内容ももちろんよかった。
最近ではこちらも発売されたようだ。参考までに良かったら買ってみてもいいかもですね。
今後彼女は前進していく事だろうと思うし、期待もしている。
大きな壁を乗り越えた彼女が今後どんな気持ちで世界へ言葉を発信していくのか、どんな言葉で音楽ファンを先陣していくのかが楽しみだ。
いま最も新しい考え方で若者に影響を与えている彼女が時代の考え方に影響を与えるという事は確実にわかっている。
彼女の言葉になんでも影響を受けることは違うとは思うが、彼女のように自分の正しさを主張できる人間が増えて欲しいと願う(というのはまた別のお話。)
最後に、僕が毎回見ているバッドガイジェームズコーデンの番組にビリーが出演した際の動画を添えておこう。
英語分からないので誰か和訳してくry……
I wish BILLIE EILISH happiness in his future life.